(昭和47年12月執筆) アメリカの自然保護、序章<構成について>

 

 
<構成について>

 アメリカの自然保護の理念を探るためには、一般に言われている欧米の自然観と東洋的自然観との相違をまず理解する必要があると考え、第一章でこれを扱うことにした。
 そうした大ざっぱな相違点を知った上で第二章においてアメリカの自然保護を歴史的に概観する。年表的羅列になってしまうきらいもあるが、アメリカ史を自然保護の立場から通観した書物が手に入りにくいので、自分の記憶を整理する上でも、また具体的に破壊→保護への転換を見る上でも必要であると信じるのである。
 そこでいよいよ本論であるが、前章で見た歴史でアメリカ的なものが、どんな要因によってアメリカ的なものになったのかをこの第三章で理解するわけである。その段階でヨーロッパやわが国の様子とも比較し、その根本的な所で「自然保護の原則」をもっているか否かという問題が出てくる。「自然保護の原則」をもっている国であってもその自然保護は同じ形態をとらない。その国特有の数ある要因によって独自なものとして形成されているからである。
 では地域や国ごとに独自の自然保護策をもっているとき、国際的視野に立って地球を「管理」する必要があるというこれからの自然保護にどのような影響をそれら独自性が与えるのかを、国際的な自然保護気運と南北問題などと関連させて第四章で考えてみる。
 最後に終章で、本文では扱わなかった社会主義国の自然保護などについてふれた上でわが国やアメリカが今後どういう姿勢で自然保護にむかっていったら良いのかまとめてみたい。
 
目次に戻る
続けて読む場合は、右矢印をクリックしてください。