「極楽鳥の踊りが見られる8月のパプアニューギニア」
2003年8月

 
ここ数年毎年訪れているニューギニアへ今年も8月に行く機会を得た。
探鳥地は今回も大好きな北部低地熱帯雨林の中にあるカラワリロッジと中央高地の山岳森林リゾート・アンブアロッジである。
ニューギニア航空夜行便で首都ポートモレスビーに入り、国内便に乗り換えマウントハーゲンへ行く。そこで10人乗りの小形双発機に乗り換え熱帯雨林の上を飛ぶこと40分、道が一本もないニューギニアの中でも特に秘境と言われているセピック川の草原に直接着陸、村人の出迎えを受けボートで10分程川を上がりカラワリロッジに着く。村の子供達は非常に人懐っこく、すぐ人のまわりに寄って来る。撮りたてのデジタルカメラの液晶画面を見せるとお騒ぎをする笑顔が実に印象的だ。
 
低地熱帯雨林とセピック川

昼食後長かった一日の疲れを癒しシエスタ。夕方ロッジのまわりで軽い探鳥、さっそくキガオムクドリ、キムネムクドリ、カンムリオウチュウ、トサカハゲミツスイ、マミジロインコ、シロガシラトビなどを見る。
 
二日目早朝からセピック川をボートで上がりながら鳥見をする。さっそく河畔林の高い枝でディスプレーするジュウニセンフウチョウを見つける。黒と鮮やかな黄色の尾そしてワイヤーのような飾り羽根がよく目立つ。ヒヨクドリも盛んに鳴いており葉と葉の間から真紅のボディーが見える。大声で鳴きながら川を渡るオオハナインコ、ヤシオウムやキバタン、ゆったりと飛ぶシロハラウミワシやハシブトゴイを見ながら三日月湖に入る。湖面を飛ぶハシブトアジサシの数の多さに驚く。チャバラワライカワセミやモリショウビンが岸辺の低い枝に止まっているのでとても見易い。
 
カラワリで低地熱帯雨林の鳥見を3日間楽しんだ後、再び小型双発機に乗り、幾つもの美しい滝が流れるを山肌をすれすれに飛びながら急斜面に作られたアンブアロッジ専用滑走路に到着。山岳森林に包まれるようにロッジがあり、庭を歩くだけでも真紅なキガタキンショウジョウインコやヒジリショウビン、クロノビタキ、パプアモリツバメ、ヤマセジロヒタキ、オナガフウチョウなどが楽しめる。
 
山岳森林に包まれるアンプアロッジ

昼食後標高2,500メートル近いタリ・ギャップに上がり探鳥、さっそくフキナガシフウチョウのディスプレーを間近に見る。森林内のトレールを歩きルリフウチョウ、タンビキズノフウチョウ、オジロオナガフウチョウ、オナガカマハシフウチョウなど極楽鳥4種を見る。
 
翌早朝、山を下りて村の民家の庭で探鳥。アオフウチョウ、タンビカンザシフウチョウ、カタカケフウチョウが同時にディスプレーしている見事な光景に大興奮、しばし時間を忘れてしまう。午後は再び高地タリギャップへ上がり、セアカヒタキ、サイシキインコ、オナガパプアインコ、パプアカラハナドリ、カンムリハナドリ、キエリモズヒタキ、キクビワインコなどの山岳種を楽しむ。夕方渓流沿いでひっそりと餌とりをしているサザナミガモや一羽の雛を育てているカンムリカッコウハヤブサなどを見る。
降り出した激しい雷雨の中、雨に打たれながら寝ているパプアガマグチヨタカの雄雌は素晴らしかったし、雨の中、傘もささず裸足で大きなサトウキビの枝をそのまま齧りながら歩く村の女性も印象的だった。
 
5日目タリ・ギャップを標高2,800メートルまで上がりパプアタヒバリ、ズアカオオセッカ、ズアオチメドリ、クロアカオオタカなどの高山森林種や草原種を一日楽しむ。翌日タリ空港から国内便でポートモレスビーに戻り、大学構内の植物園で夕方の鳥見をする。この植物園は町中でありながら鳥影が濃いので、時間がない時のお薦めコース。 チャバラニワシドリ、メガネコウライウグイス、チョウショウバトやこの地域でしか見られないコバシミツスイも見られる。
 
最終日は夜明け前にバリラタ国立公園へ行く。うっすらと夜が明けると同時にアカカザリフウチョウが鳴き始めたので声を求めて森林へ入ると、10羽程が大声で鳴きながら飛び回っている踊り場を見つける。一羽のメスの上下の枝で3羽のオスが翼と赤い尾を広げてディスプレー中、さすが国鳥だけあってその踊りは実に美しく品格がある。朝食のサンドイッチを食べながら渓流沿いのトレールを歩きオオウロコフウチョウ、テリカラスフウチョウ、ズグロモリモズ、バラムネオナガバト、セグロモズガラスなどを見て公園を離れ飛行場へ向う。
 
今回の旅では極楽鳥だけで17種類も見ることが出来、しかもその内9種類はディスプレーが見られるという非常に満足のいく旅となった。8月乾季のニューギニアは極楽鳥という究極の鳥を心ゆくまで楽しめるベスト・スポットの一つである。 (7日間で観察出来た鳥種は177種類。)
( ニューヨーク在住 藤波 理一郎記 2003年8月 )