バーダーへの質問:回答編
 

1. バードウオッチングのことを良く知らないのだけれど
 
  回答集:
  1. 紅白歌合戦でやっているように鳥の数を数えるの?
  2. 写真を撮ったり、録音したりするの?
  3. 写真を撮ったり、録音しないで何が楽しいの?  
     
  4. 他の質問へ行ってみる。

 

 
a. 問:紅白歌合戦でやっているように鳥の数を数えるの?


a. 答:
バードウオッチングは、本来野鳥を観察する趣味の一種です。
野鳥を観察する目的にはいろいろとあると思いますが、バードウオッチングと鳥の数を数えることは必ずしも同義ではありません。鳥を数えることはバードウオッチャーの中でも相当なベテランにならないと困難ですので、いわゆるバードウオッチャーが皆正確に鳥を数えられるとは限りません。

紅白歌合戦の最後に、大学の野鳥研究会のようなサークルに属している方々がずらりと一列に並んで、会場で紅白のカードを持っている人たちの数を数えるようになって久しいですね。私個人としては、このような番組で野鳥の会の人たちが参加できることはある意味では結構なことだと思いますが、反面この質問のように本来のバードウオッチングをごく偏った角度で知らしめることとなり、功罪半ばにするものと思います。

紅白歌合戦の会場という定員が決まっている場所で、ほぼ全員が着席し、赤か白かのどちらかしかないカードなどを掲示しているところを、色別に数えるのと、自然界でどのような鳥がいるかもわからず、鳥の種類を正確に識別しながら、自由気ままに動き回る鳥を数えることとは、技術的に要求されるレベルは全く異なります。紅白歌合戦の会場で数えることは、野鳥の会の会員でなくとも誰でもできますが、鳥の数を数えるにはそれなりの経験を積まないとできません。

自然保護の観点から、または、その鳥の生態の理解や地域の正確な記録として鳥の数を数えそれを記録にとどめることは非常に重要なことです。しかし、バードウオッチングは鳥の数を数えなくとも十分に楽しむことができます。数を数えたい人も、数を数えたくない人もあまり数にはこだわらずにまず始めてみては如何でしょうか。

上に戻る
 
 
 

 
b.  問:写真を撮ったり、録音したりするの?


b.  答:
野鳥の楽しみ方にはいろいろあります。
日本でも広く認知されるようになったバードウオッチングは、自然の中であるがままに生活する野鳥を、脅かさないという点に配慮することを前提にどのような楽しみ方をしても良いと私は思います。この観点から彼らの可愛らしい姿を自分のカメラで撮影したいという方は写真を撮り、彼らの美しい声を身近にとどめておきたいという人は録音をするでしょう。
 
最近は技術の進歩のおかげでカメラと望遠レンズそれにフィルム、録音機材とマイクなど相当高度な品質のものが安価でかつ軽量になってきていますので写真や録音を通じてバードウオッチングを始めたいという人は少なくないでしょう。
 
しかし、バードウオッチングイコール写真撮影でも録音でもありません。恐らく圧倒的多数の人々はただ鳥を見るまたは鳥を見つけること自体に喜びを見いだしているものと思います。また、厳密にいうといわゆるバードウオッチングに出掛けるときと、撮影や録音に出掛けるときとでは、装備は勿論動き方や一日の過ごし方も変わってきます。写真撮影や録音をする場合には、通常は鳥がでやすく、良い写真や音がとれそうなところでじっくりと鳥が現れるのを待ち続けますが、“普通の”バードウオッチングは自分たちで好きなように歩き回り、または寝ころんだりしながら、自分たちの好きな方法で大自然とそこに生活する鳥達を楽しむのですから。

そうです。カメラも録音機材など何もなくともバードウオッチングは始められるのです。どうですあなたも今日からバードウオッチングを始めて見ては。
 

上に戻る
  
 
 

 
c.  問:写真を撮ったり、録音しないで何が楽しいの?


c.  答:
バードウオッチングをやったことのない方にはなかなか想像が出来ないかもしれませんが、野鳥の楽しみ方には実にいろいろあります。
私が長年この道でいろいろな人とお付き合いをして感じてきましたのは、バードウオッチングを楽しまれている方々はそれぞれの方々の価値観に於いて皆さん好き好きな方法でいろいろな楽しみ方をしているということです。
 
普通の人がバードウオッチングについて思い浮かべるとき、学者のように生物学または生態学的なアプローチからバードウオッチングを楽しむのではないかと考える方が多くいます。勿論そのような学術的な楽しみ方もありますが、生物を見ることと学問とは必ずしも結びつきません。しかし、この分野の活躍がなければ環境保護や我々の生活環境の健全な開発を進めることが不可能です。
これに関連して、上記のa.の質問にあるように鳥の数を数える仕事も当然必要になってきます。しかし、一般にバードウオッチングという場合にはこれらの専門的なまたは学術的なアプローチよりも少し広い範囲を含んだ表現になっています。
 
ある程度識別力をつけた方々の中には、見た鳥の種類を増やすのを目的としている人がいます。これは、いろいろなものを集める趣味と共通点があり、その人にとっての「新種」を増やすことは非常に強い動機付けになりますので積極的に活動をしていく傾向が強いようです。日本の鳥555種の内自分は何種類見た、先日どこそこで確認されたアメリカへの渡り鳥が日本に一羽だけ来たときに自分も見に行ったとかいう話題はバードウオッチャーの中でも普通に語られており、新種・珍鳥へのあこがれは強いものがあります。
 
かなり多くの割合を占めるのは、鳥がきれいだからとか可愛いから、または、声がよいからという情緒的な側面からまちまちの楽しみ方をしているようです。
自分の家の庭やマンションのベランダに餌台を作り野鳥を呼ぶ人達の中にはこのように野鳥そのものが好きな皆さんが多いようです。公園で珍しい色の鳥を見たとか、偶然庭に来ている鳥がきれいで鳥に興味を持ち始めた人などもいます。
絵を描いたり俳句をつくったり、文学や芸術などとの関係で鳥のことに興味を持ち始め、意外にも身近に多くいる野鳥に興味を持つようになった人達もいます。
 
バードウオッチングは、自然の中であるがままに生活する野鳥を脅かさないという点に配慮しさえすればどのような楽しみ方をしても良いと私は思います。あなたはあなたなりの楽しみ方が出来るはずで、それが今日世界中の人達から簡単に自然を満喫できる趣味としてバードウオッチングが歓迎されている所以だと思います。
 
上に戻る
  
 
  
他にご質問がありましたらbirder@e-birder.com宛てにメールでおたずね下さい。
私ができる範囲で誠実にお答えし、主なものはこのページで紹介させて頂きます。