19世紀の半ば頃、マンハッタンがまだダウンタウンから39丁目くらいまでしか開発されていないときに、59丁目よりも北側に南北に約4km、東西に約1kmという異常に大きな公園を設計して作り上げたというのは、本当に驚きです。しかも、それが単に世界で最初の試みであるというだけでなく、将来マンハッタンの住民にとって欠くことのできない憩いの場となることを予見して、それにふさわしく設計したということが本当にすごいことだと思います。
それでも、当時公園を設計した人達は今ほどびっしりと高く摩天楼がそびえ立つだろうということまでは予想できなかったのだろうと思いますが、今正にこのように摩天楼が林立しているからこそ、マンハッタン島の丁度中央部にあたるセントラルパークがそこに集う人々に安らぎの場を与えており、当時の設計の理念が十分に活かされていると思います。
そして、人工とはいえこれだけ集中して自然があるためにマンハッタンの住民だけでなく、渡り鳥の多くがここで羽を休め、多くの留鳥がここで繁殖しているのです。
北アメリカ大陸で約900種の鳥が見られるといわれていますが、このセントラルパークでは300種以上がこれまでに記録されているということです。
 
鳥が集まるところには必ずバーダーも集まります。日本と異なりバーダーの人口が非常に多いアメリカでは、どんな天気の日でも必ずと言って良いほどバーダーが鳥を求めて歩き、または鳥の写真を撮りにきています。特にアメリカウタムシクイ類が訪れる4月〜5月など渡り鳥がにぎやかになる頃には、何百人というバーダー達が何十ものグループに分かれてあちこちで姿や声を楽しんでいます。
そこには人種も、国籍も関係なく、鳥見の人だとわかるとお互いに声を掛け合い、あそこで何々がでましたよとか、何々は見ましたかとか情報を交換しあっています。