チューリッヒ市、近所の鳥出現頻度の調査結果
1995年5月から1996年9月までの出現した全種類についての調査結果です。
チューリッヒ市内でも住宅地のあたりでは数多くの鳥が観察できます。わざわざ遠くに見に行かなくても、少し気をつけさえすれば、かなりの鳥を身近で楽しめます。短時間近所を散歩したときにどのような鳥と出会う可能性が高いのかを調査した結果をご報告します。チューリッヒ日本人会主催「第二回バードウオッチング講座」(1996年2月8日実施)で使用した記録(1995年分)に1996年の調査分(1〜9月分)を加え、新たに集計し直したものです。
チューリッヒの自宅を中心とした近所では、いったいどのような鳥が普通に見られるだろうか、また、見られる鳥の種類は季節が変わるとどのような変化があるのかを知りたい、ということから調査を思いつきました。これは、私自身が初めての土地で、どのような鳥がいるのかがわからないと図鑑を見てもなかなか種類を特定しにくいですし、日本地方では珍しくてもスイス地方では珍しくないまたはその反対ということもあります。また、チューリッヒの鳥に関して日本語はもちろん英語で書かれた本もなく、仮にそのような資料があったとしても、自分の自宅の近くで本当にどうなっているのかという点については、やはり自分で確認するのが一番確かだと考えたからです。はじめは、日本人会のような場でお知らせすることなどは考えてもいませんでしたが、結果としては一部の方にお知らせすることができ、調査をしたかいがあったと考えます。このたび、この改訂版を作りましたので、少しでも多くの日本人の方のお役に立てば幸いです。
通常の週日は自宅の周囲を約30分程度で歩いて回れる範囲。週末や祝日などには少し遠目に歩き1時間半から2時間くらいで家に歩いて戻れる範囲。具体的には調査地域の地図をご覧下さい。
歩いて一時間といっても、時速4kmで歩くわけではありませんので、調査地域もそれほど広いわけではありません。30分以内の地域を中心に町とは反対側(丘の上の方)に向かって半径で約1km~1.5km程度の広さになっていると考えます。
チューリッヒ市は、チューリッヒ湖をはさんで南側と北側に丘が連なっています。チューリッヒ湖の湖面が標高約400m強です。チューリッヒの最高地点ユートリベルグ(Uetliberg)はチューリッヒ市の南側で、標高約880mありますが、調査地域はその向かい側のチューリッヒベルグにあります。チューリッヒ中央駅の北側から調査地域のもっとも近い所までは直線距離で約1kmですが、標高は約500mです。調査地点の最高地点は標高約640m程度あります。30分以内の調査地域は全面住宅地で、住宅と住宅の間に木々があり、わずかですが木のない草地のなだらかな斜面もあります。30分以上の地域の丘の上部大部分は山林で、中にはキャンプ地のようなレクリエーションのための広場があります。住宅地の接する部分では比較的広く開けた牧草地がありますが、動物が放牧されているわけではなく、チューリッヒ市内の住民のためのウオーキングまたは家庭菜園のために利用されるような地域となっています。
住宅地では早朝キツネが出没してゴミなどをあさっていますが、山林にはいるとシカが群れで生活しています。チューリッヒ市内の繁華街から直線距離で2km程度の近さではありますが、日本では遙かな郊外へ出かけたような環境の変化です。
下の写真は、30分以内の調査地域内の住宅からチューリッヒ湖を見下ろしたものですが、道路のレベルからですと建物や木がじゃまをしますので、この景色を見るためには、30分以上の地域で木のない比較的高い地点まで行かなければなりません。
調査地域内の自宅を中心として、朝6時頃から約三十分ほとんど同じ経路を歩き、見たり聞いたりした鳥の種類を記録します。週末または祝日は(少し寝坊させてもらいまして)朝7時頃から30分ないし一時間半程度、通常より広い範囲を歩き、見聞きした鳥の種類を記録します。調査日に確認された鳥を種類ごとに集計し、どのくらい頻繁に確認されたのかを見ました。調査期間は1995年5月14日から1996年9月28日までで、下表でわかりますようにその期間の全日数519日のうち調査日数は323日(約62%)ありました。
全日数 | 調査日 | 調査日率 | |
---|---|---|---|
1995年05月 | 31 | 14 | 45.16% |
1995年06月 | 30 | 29 | 96.67% |
1995年07月 | 31 | 19 | 61.29% |
1995年08月 | 31 | 1 | 3.23% |
1995年09月 | 30 | 24 | 80.00% |
1995年10月 | 31 | 15 | 48.39% |
1995年11月 | 30 | 25 | 83.33% |
1995年12月 | 31 | 8 | 25.81% |
1996年01月 | 31 | 16 | 51.61% |
1996年02月 | 29 | 13 | 44.83% |
1996年03月 | 31 | 28 | 90.32% |
1996年04月 | 30 | 16 | 53.33% |
1996年05月 | 31 | 28 | 90.32% |
1996年06月 | 30 | 19 | 63.33% |
1996年07月 | 31 | 25 | 80.65% |
1996年08月 | 31 | 29 | 93.55% |
1996年09月 | 30 | 14 | 46.67% |
合計 | 519 | 323 | 62.24% |
この調査で確認された鳥は全部で59種類、もっとも多く出現した鳥はクロウタドリで299日(92.6%)確認されました。詳細は次の項目を参照してください。1.月別調査時間と平均出現種類数
月ごとの出現種類数を一覧表で示しています。2.種類別出現頻度
種類別の出現率を表で示しています。また、個別の鳥の出現状況は、その表でそれぞれの鳥名をクリックするとグラフで見ることができます。