春のセントラルパーク =その2=
(2002年4月下旬)


 4月は中旬に30度以上の夏のような天気が続いた後、下旬はウソのような肌寒い毎日となり、すっかり早春の気候に戻ってしまった。 しかし、花はほとんど散ってしまっており半月程早い淡い緑の新緑がとても美しい。
 
 チャイロコツグミ、モリツグミ、ビリーチャツグミ等のツグミ類の数が多くなってきた。
ノドジロシトドがそこらじゅうで囀り、ボルチモアムクドリモドキの口笛を吹くような澄んだ囀りが高い木の天辺から聞こえて来る。 シマセゲラ、ハシボソキツツキの鳴き合う大きな声とドラミングがよく響いてくる。 ササゴイが今年も営巣中、すでにメスが座っている。 あちらこちらで雛を連れて歩くマガモが見られ、林の梢からは色々なソングバードの囀りが降ってくる春である。アメリカムシクイ(ワーブラー)も種類が多くなり、人気者のメガネアメリカムシクイもいよいよ登場。 この公園ではシーズン中1度か2度程しか見られないムシクイとあって公園中のバーダーが追い掛け回す、しかも低いブッシュの中を歩きながらえさ採りをするため見ずらく、見つけると興奮した声があちらこちらで上がる。
 
   トレールを歩いていると、毎年この時期おもしろい鳥達のしぐさを見る事が出来る。
その一つが、ハゴロモガラス(真っ黒な身体で肩に大きな真っ赤なパッチがある美しい鳥)、 ベンチに座っていると、ピーナツを強請りにコールしながら近づいて来る、ピーナツを手の平に置くとうれしそうに取りに来る。 もう一つは真っ赤で派手なショウジョウコウカンチョウ、 同じようにコールしながら目の高さの手のとどく枝まで飛んで来てピーナツを強請る。 面白いのは、この行動がどちらも巣作りを始める前の短い間だけであり、誰にでも対する行動ではなく、不思議と双眼鏡を首から下げているバーダーだけに擦り寄って来る、そして、もらったピーナツは自分では食べずにメスに直ぐ与えるのである。
公園に居る全ての彼らがこうした行動をとるわけではなく、例年3ペアー程度ぐらいしか居ないが、ついつい可愛いので、 この時期鳥見をする時は何時もピーナツを持ち歩くことにしている。
 
 今回(4月下旬)のウォークで観察された主な夏鳥達はアメリカムシクイ19種類(オウゴン、アオバネ、サメズアカ、ズアカ、アサギ、ワキチャ、キズタ、シロクロ、ノドグロルリ、ノドグロミドリ、チャスジ、マツ、ヤシ、キイロ、メガネ、クロズキン、カオグロ等アメリカムシクイ、それにカマドムシクイ、キタミズツグミ)。 その外はオオヒタキモドキ、メジロモズモドキ、フタスジモズモドキ、ウタイモズモドキ、ミドリツバメ、ムラサキツバメ、ショウドウツバメ、オビナシショウドウツバメ、ツバメ、ブユムシクイ、ネコマネドリ、チャイロツグミモドキ、ムネアカイカル、ルリノジコ、アカクロムクドリモドキ、オウゴンヒワ等である。
また、チャバラマユミソサザイが公園で初めて営巣、もともと南の鳥で、ここ数年間の 暖冬のせいか生息地を北へ広げているようである。
 
(ニューヨーク在住 藤波 理一郎、2002年5月3日 )