春のドゥードゥルタウン =その1=
(2002年4月中旬)

 ニューヨークの中心マンハッタンから車でハドソン川沿を50分北上すると“ベアーマウンテン”州立公園がある。 その一角でハイキングコースとなっている小高い山が“ドゥードルタウン”と呼ばれる所で、夏鳥達の渡りと営巣が見られる私のフィールドの一つである。
 
今年は春の訪れが早く、すでにカタクリ、スミレ等の草花が満開、モリガエルも盛んに鳴いている 。また、トレールを歩いていると冬眠を終えたマダラサンショウウオが水辺を歩いているのも見られる。
すでにミソサザイ、ワキアカトウヒチョウ、エボシガラ等が囀っており、渓流では渡って来たばかりのミナミミズツグミが枝移りをしながらテリトリーソングを盛んに歌っている。
エリマキライチョウの翼を叩く“ドッドドドド…”という春を告げるドラミングの音も、森の中から響いて来る。
この時期は木にまだ葉がついておらず、エボシクマゲラが倒木に下りてエサ採りをしていたり、オス・メス鳴き合いながら樹間を低く飛んで行く姿などがよく身近に見られる。
シマセゲラ、セジロコゲラ、セジロアカゲラ等のドラミングが耳に心地よく響いて来る。
ムシクイの中でも早く渡って来るヤシアメリカムシクイの小群が目の前で囀りエサ採りをしているのをゆっくり眺めながら、まだハイカー達も居ない静かなトレールを歩いていると正に春を肌で感じる事が出来る。
あと2週間もすると、クロズキン、ミズイロ、キイロ、フタスジ等のアメリカムシクイやハゴロモムシクイ、そしてノドアカハチドリ等が子育ての為に次々とやって来て山はとたんに賑やかになる。
 
(ニューヨーク在住 藤波 理一郎 )