「2003年春のニューヨーク・ソングバード便り」第三報
(2003年4月20日)


30度を超す真夏日が一日あったかと思うと、5度程度しか気温が上がらない冬日に戻ったりと、激しい春の天気の連続だったが、嵐のような南西の強風にのってソングバード達もいよいよニューヨーク近郊に姿を現し始めた。
セントラルパークではチャイロコツグミの数が多くなり、トレールを歩くと目の前で赤茶の尾をピクピクさせながらエサ取りする姿を久しぶりに見ることが出来る。
アメリカムシクイ類もキヅタ、シロクロ、マツ、ヤシ、チャスジ、カオグロ等とミナミミズツグミの7種類が姿を現した。
また、いつも春早々と公園にやって来るフタスジモズモドキもやっと見られた。
 
日本庭園と桜で有名なブルックリン植物園には12日からメガネアメリカムシクイが現れ大騒ぎとなっている。 特別珍鳥ではないが数は少なく、いつもブッシュの中や暗い水辺の下草のまわりを歩くので見るのに苦労するムシクイの一種である。
しかし、この渡りの時期はエサ取りに忙しく、明るい所に出てくれてしかも近距離で見れるのでバーダーにとってはありがたい。
喉から腹にかけてが真黄色で背中が明るいオリーブ色、目のまわりが黒い奇麗なムシクイである。 同じ場所にこれまた可愛いクロズキンアメリカムシクイも現れているので、バーダー達は益々大騒ぎをして楽しんでいる。
 
ニュージャージー州ケイプメイにはやっとノドアカハチドリがやって来た。 この地では昔からボケの花が咲き始めるとハチドリがやって来ると言われているが、 先週そのボケの花も満開となり、メタリックな赤い喉のオスを見ることが出来た。 その姿は春の暖かさを感じさせてくれる。
まもなく、セントラルパークでもこの可愛い姿をじっくりと見れるので楽しみだ。
ケイプメイではこの他カマドムシクイ、ルリノジコ、ムネアカイカル、ナツフウキンチョウ、オオヒタキモドキ等の夏鳥達も見ることが出来て、本格的な春の兆しを感じる週であった。


(ニューヨーク在住 藤波 理一郎)