セントラルパーク、春の渡り鳥
(2001年春)


 今春のセントラル・パークは4月に入っても肌寒い日が続き、春の渡り鳥達の動きも遅く20日頃になってようやくやって来た。 早い渡りのヤシ、マツ、キヅタ等のアメリカムシクイやルビーキクイタダキ、フタスジモズモドキ、キタミズツグミ、ブユムシクイ、チャイロコツグミ等がやっと見られた。 しかも、冬この公園で過ごすユキヒメドリ、アメリカキバシリ等がまだ残っていた。
その後22日から3日間程は急に気温が上がって27〜8度となり、オウゴン、ズアカ、シロクロ、ノドクロルリ、ノドクロミドリ、キイロ、クロズキン、カオグロ等のアメリカムシクイにミナミミズツグミ、ムネアカイカル等も加わってやっと公園も賑やかになる。 また、この時期ワキアカトウヒチョウの西側種( Spotted Towhee)も現れ大騒ぎとなった。
 
 25日ぐらいから気温が又急に14〜15度ぐらいまで低下し、30日まで北風が吹いて寒い日が続き渡りは低調となるが、ルリノジコ、カマドムシクイ、アサギアメリカムシクイ等が加わって来た。また、何十年ぶりにトゲオヒメドリが公園に現れ大騒ぎとなったが、一日中いてくれたので沢山のバーダーが見たり写真を撮ったりでエンジョイした。
 
 5月1日急に暖かくなって今年初のウエーブが到来、朝から鳥達が盛んに鳴き出す。キヅタアメリカムシクイがものすごい数、キンバネ、フタスジ、シロオビ、ワキチャ、クロボシ、ウィルソン、メガネ、キマユ、クリイロ等のアメリカムシクイの他にアカフウキンチョウ、ボルチモア・クロアカの両ムクドリモドキやモリ・ビーリーの両ツグミも現れ公園は夏鳥達で溢れんばかりとなる。
 
 4日間程30度近い夏日が続いた後、5日から又15度近い初春に逆戻り風も北東となって公園も静かになり、ズグロアメリカムシクイの鈴を鳴らすような声がよく響く。12日になってやっと皆さんお待ちかねのホオアカアメリカムシクイが現れた。例年だと20日近辺ともなると、渡りの遅いズグロアメリカムシクイが多くなって夏鳥達も各営巣地へ向かって飛び立ち、セントラルパークも静かになるところだが、今年は大きなウエーブが一度あったきりでその後はなく、そのかわり20日過ぎても早い渡りのノドグロルリ、シロクロ、クリイロ等のムシクイがいつまでも見られた。 それと今年は例年少ないホオアカ、ノドグロルリ等のムシクイとアカフウキンチョウの数が多く見られた。
 
 6月に入るとさすがムシクイ達もいなくなり、セントラルパークは静かになってしまった。一方郊外の営巣地は6月の声を聞くと、昨年と同じ顔ぶれの夏鳥がそろって賑やかになった。その一つ、北ニューヨークのドゥドルタウン・トレールは例年5月末にはやって来るムシクイ達も6月になってやっと声が聞こえる状況。 それでも何時ものミズイロ、クロズキンアメリカムシクイやハゴロモムシクイ等は何組か営巣をし始めた。この山は今年はキバシカッコウが非常に多く、いたる所でメイティングが見られる。西ニューヨークのペカノック保護区のキンバネアメリカムシクイの営巣数は例年に比べて少々少ないのが気になる。 年々減っているこのムシクイの姿も5年後ぐらいには見られなくなるかもしれない。 営巣地環境の破壊とアオバネアメリカムシクイとの混成種(Lawrence's Warbler & Brewster's Warbler)が増えていること等が原因と思われる。
 
 南ニュージャージーのオウゴン、キノド等のアメリカムシクイの営巣は今年も同じ場所で見られたが、メガネアメリカムシクイの営巣がまだ見られないのが少々気がかりである。
 
以上
 
( ニューヨーク・藤波 )